第2回 2020年5月20日

オルタナは「サステナビリティ部員塾」(協力:サステナブル・ラボ)第16期上期第2日目を5月20日、オンラインで開催しました。詳細は下記の通りです。なお、次回サステナビリティ部員塾(6月17日開催予定)は引き続きオンライン形式で開催します。その後は新型コロナウイルスの状況を考慮し、開催1カ月前に通知します。

第1講 3級教科書ポイント解説(1~4章)
森 摂(株式会社オルタナ代表取締役・「オルタナ」編集長)
まずCSRの経緯や歴史背景について説明。2015年のコーポレート・ガバナンス・コードの制定やSDGsの設定、GPIF国連責任投資原則、パリ協定、国際規格ISO26000、グローバルコンパクトなど時系列に追って用語の説明を行った。
CSRやサステナビリティ―分野の特徴としてソフトローの重要性、アウトサイドインの視点が必要であるという点を強調した。解説の最後にSDGチェックシート、SDGs169のターゲットを確認し、3時間目の「アウトサイドイン・ワークショップ」につなげた。
169のターゲットでは「仙台防災枠組」が盛り込まれ、気候変動や災害に対するレジリエンスを目指す総合的政策や計画のモデルとなっている。総論の解説後、部員塾参加者はCSR検定3級の問題説き、答え合わせをした。

第2講 事例研究1「海洋プラスチックごみ問題」
小島 あずさ(一般社団法人JEAN事務局長)

小島氏は、一般社団法人JEANの海洋プラスチックごみ問題への取り組みについて説明した。JEANは、日本における国際海岸クリーンアップ(ICC)の活動を担い、「拾ってきれい」だけではなく「調べて出さない」よう活動している。
世界では、年2億トンのプラスチックが使い捨てられている。日本は、2018年のG8 (カナダ・シャルルボア)サミットでの「海洋プラスチック憲章」に米国とともに署名を拒否した。その後のG20大阪サミット首脳会議では「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を表明し、2050年までに新たなプラスチックごみの海洋流出をゼロにする宣言が行われた。
しかし現在も新しいマイクロプラスチック問題が浮上するなど課題が絶えない。同社団法人は、さらにごみの調査、発生抑制、普及啓発、環境教育などを通じてシングルユースプラスチックの使用量削減を目指している。
最後に小島氏は、新型コロナの感染予防でプラスチックのもつ利便性や衛生面でのメリットがクローズアップされる中、一概に使用を禁ずることは難しいが、使い捨ての削減、捨て方、回収方法などを検討する必要があるとした。講義後、オルタナの森は、「プラスチックを使用せざるを得ない企業が環境面でNGO/NPOとタグを組んで取り組むことは有効な手段だ」と解説した。

第3講   WS(SDGsアウトサイドイン①)
森 摂(株式会社オルタナ 代表取締役・「オルタナ」編集長)

CSR/SDGsの概要説明とワークショップの2部で構成、参加者はワークショップを通じて、各社アウトサイドインの可能性について考え、ディスカッションを行った。
森は、SDGSはツール、CSRは手段に過ぎないとし、それ自体を目標化するものではないと説明。目的はあくまでも顧客創造であり、最終的には企業価値向上が結果としてついてくると指摘した。
また、「『未来の顧客』はマーケットのなかではなく、マーケットの外、社会にある」というP・ドラッカーの言葉からも、アウトサイドインは社会の潜在的ニーズであることを示した。現在の市場ニーズではないが、将来の社会ニーズが見込める価値創造やマテリアリティの刷新R&Dなどの投資こそが、アウトサイドインだとした。
その好例として1997年の第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3、京都会議)を見据え、自動車の将来エネルギー・環境問題への対応シナリオを決め、トヨタ自動車がハイブリッド車「プリウス」をCOP3に間に合わせたことを指摘した。説明の後、7つのグループに分かれ、社会課題の洗い出しから、潜在的な社会ニーズの把握、マテリアリティの策定、アウトサイドインのビジネスを考えるワークを行った。

第4講  企業事例2:アサヒグループHD
松沼 彩子(アサヒグループホールディングス株式会社 Sustainablity Senior Manager)

松沼氏が、グループ会社と本社の両方の視点からアサヒ・グループ全体のCSRへの取り組みにを説明した。同社ではSDGコンパスを参考に、社会課題を洗い出し、優先課題を目標としたマテリアリティの設定、方針・ビジョン決定、経営統合、実行へと極めてシステマティックな方法を採っている。
また、グループ内で領域を分担し、ホールディングスは投資家視点から、事業会社はそれぞれの顧客・消費者ダイアログから社会課題を把握し、マテリアリティの刷新に取り組んでいる。双方の視点を持ち寄ることによって、グループ全体の経営に統合している。
具体的には、飲料含めメーカ―の社会課題のひとつである「ペットボトル問題」については、リサイクルやバイオマスプラ開発、プラの使用を減らした商品開発(リデュース)などの努力を続けている。
共通の社会課題が多いビール業界では、競合を巻き込んだ社会的責任への対応策として令和2年4月1日の「資源有効利用促進法」)改正と、識別表示のルールの変更など成果をもたらした。当社は、業界で初めてカーボン“0”を表明しており(2018年末に表明)、今後2030年には50%減、2050年には0%を宣言し、SBT(サイエンス・ベースト・ターゲット)の承認を受けた。