第5回 2020年2月12日

CSR部員塾第15期下期第5回が2月12日、東京・京橋のシティラボ東京で開催された。今回は「国際NGOの活動を知る」「各種ESGアンケート対策」をテーマにそれぞれ講義が行われた。企業事例としては日立製作所のサステナビリティ戦略が紹介された。(中川千絵美)

◆国際NGOの活動を知る
サム・アネスリー氏 (グリーンピース・ジャパン 事務局長)
城野 千里氏(グリーンピース・ジャパン 広報担当)

アネスリー氏は冒頭で、世界の現状とそれに対する世界の企業の動きに触れながら、最低限のことをするだけ、法に従う〝だけ〟では、 何の得もないと述べ、企業の積極的な姿勢の重要性を強調した。
また、グリーンピースが行ったキャンペーンによって、世界的に影響力をもつ大企業が変わりつつあることについても具体的に述べた。アネスリー氏は、グリーンピースが世間で抱かれがちなイメージに触れながらも、グリーンピースは 「平和的な直接行動」と「創造的対立」 を用いて国際的な環境問題を世の中に知らせ、その解決を迫る独立したキャンペーン団体である、と改めて団体の性格を説明した。
城野氏からは、グリーンピース・ジャパンの最新の取り組みについて特に、気候変動とプラスチック問題について述べられた。気候変動に関しては、日本が他の先進国の動きに逆行し、石炭火力発電電力量が増えていることを指摘し、他国が削減に成功しているのだから、日本もできるはずだと城野氏は述べた。また、プラスチック問題に関しては、リサイクル神話や、盲目的にプラスチックの代替案を受け入れることの問題点について指摘した。
最後に、アネスリー氏は「グリーンピースは企業の敵でもなければ、味方でもない。相談役など、企業にリソースとして積極的に使ってもらいたい」と呼びかけ、講義を締め括った。

 

◆CSR検定2級試験の過去問演習と解説
森 摂(オルタナ編集長)

2講目は、CSR検定2級試験のテキストを解説し、その後、過去問題を模擬試験として実施した。二級テキストの中でも「CSRのビジョン確立、システム構築、教育」「マテリアリティの特定」「サステナビリティの情報開示/レポーティング」といった「CSRの経営への統合について」と、「CSRにおけるNGO/NPOの役割」といった「ステークホルダー目線の重要性」について解説を行った。
特に、CSRにおけるNPO/NGOの役割については、1講目に登壇したグリーンピース・ジャパンの例も用いられ、具体的な解説が行われた。後半には、模擬試験の解説も行われ、受講者から多くの質問が出るインタラクティブな講義となった。

 

◆ワークショップ「各種ESGアンケート対策」
室井 孝之氏(株式会社オルタナ オルタナ総研コンサルタント)

3講目は、企業価値を高めるためのESG情報開示とCSRアンケート対応に関して、オルタナ総研コンサルタントの室井氏が講義を行った。
ESG情報開示における企業価値創造ストーリーの重要性について述べ、実際にある報告書の中で、企業価値創造ストーリーが伝わりやすいものを提示した。
室井氏は、長期投資家は現在の企業価値だけでなく、未来価値に重点を置いていると述べた。また、その未来価値がきちんと達成されるには、地球の環境も欠かせない要素であると述べ、環境、気候危機対応イニシアティブに関する近年の動きについても解説を行った。さらに、各評価機関からのESGアンケート対応についても、それぞれの特徴を説明。ESG情報開示ツールとして各評価機関からのアンケート対応は有効であり、企業のサスティナブルなアプローチに対するヒントとなったり、企業活動の不足の発見に有効であると述べた。

 

◆企業事例 日立製作所
増田 典生氏 (株式会社日立製作所 サステナビリティ推進本部 企画部 部長)

企業にとってのSDGsの重要性はますます高まっており、日立製作所の経営層もかつては考えられなかったほどSDGsを意識し、非財務戦略が財務戦略に大きく影響することが広く認識されている、と増田氏は述べた。
加えて、企業が気候変動に向き合う事は、投資を呼び込み、事業の持続性を担保する上で重要であると指摘。プロダクト単体の脱炭素ビジネスは限界を向かえ、これからはソリューションサービスベースのもの、社会全体の構造を変えていけるビジネスを同社は重視していると述べた。また、日立製作所はBusiness to Societyの会社であり、お客様と一緒に社会の価値を作っていきたい、と強調した。最後に、同社の今後の課題として非財務のインパクトの見える化を挙げ、講義を締め括った。