2019年の資産運用はESG投資に始まりESG投資に終わった感があります。2020年も引き続きESG投資が最大のテーマになりそうです。

私は大学で投資理論を研究していますが、伝統的な投資理論の枠組みの中で、ESG投資をどのように評価すべきなのかが重要なテーマになっています。このコラムでは、投資理論の立場からESG投資を解説してみたいと思います。投資理論といっても難しい話は抜きにして一般の方に分かるように解説しますので、気楽に付き合って下さい。

ESG投資の定義

ところで、ESG投資と言っても人によってそのイメージはばらばらです。そこで、まずESG投資を定義してみたいと思います。ここでは、以下のように定義します。

つまり、①ESG投資とは、

・環境(Environmental)
・社会(Social)
・ガバナンス(Governance)

という3つの非財務情報を考慮した投資のこと。
そして、②ESG投資リターンとして、

・経済的リターン
・社会的リターン

の双方を対象とします。

定義①はESG投資の方法論であり、投資対象企業を選択するときに企業のE、S、Gの3種類の情報を勘案するということを言っています。この3種類の情報は企業の利益や売上高などの財務情報とは異なるため非財務情報と呼ばれています。なお、これらの非財務情報を既存の財務情報と組み合わせて総合的な投資情報として使うことも可能です。この組み合わせる投資手法をESGインテグレーションと呼んでいます。

定義②はESG投資によって投資家はどんなリターンを狙っているのかを説明しています。「経済的リターン」とは株価の変化や受取配当金など通常の投資リターンのことです。一方、「社会的リターン」とはその投資によってもたらされた社会的な貢献のことを指します。例えば、温暖化ガスを減らすことが出来た、あるいは、貧困層を減らすことが出来た、といったことです。もちろん、この「社会的リターン」は長期的には「経済的リターン」につながるという前提があるわけです。この「社会的リターン」については次回以降で詳しく解説したいと思います。

ESG投資のルーツ

ところで、このESG投資のルーツは1920年代まで遡ることが出来ます。当時、教会の余資運用において、ギャンブルやアルコール等教義に反する事業を行っている企業への投資は行わない、という投資方針があり、それがESG投資のルーツと言われています。つまり、宗教的な考え方がその根底にあるわけです。

しかし、現在、ESG投資は宗教的な投資というよりは、長期的に持続可能な(サステナブルな)リターンを得るための投資手法として認知されつつあります。特に、2006年に国連でESG投資の重要性が宣言(PRI;Principle of Responsible Investment)されてから大きな注目を浴びるようになりました。