第2回 2019年5月15日(水)

CSR部員塾第15期上期の第2回が5月15日にシティラボ東京で開催された。CSR検定3級試験に向けたテキストのポイント解説をはじめ、社会課題に取り組むNGOの実践や企業事例などについて、ワークショップを交え理解を深めた。

◆3級教科書ポイント解説
町井則雄氏(株式会社SinKa代表取締役)

社会課題解決型の事業づくりを支援するSinKaの町井氏は、CSR検定3級の公式テキストに沿って、そのポイントを解説した。町井氏は冒頭、「『企業の社会貢献=CSR』ではない」と強調。寄付(フィランソロフィー)や慈善活動だけではなく、CSRを本業に取り込み社会課題の解決につなげていく視点が求められるとした。

「CSRとは企業理念とその実践による経営そのものであり、それは「企業が未来社会を予測し、マーケットを先取りすることだ」と指摘。「社会の持続可能性」と「自社の持続可能性」の2つを掛け合わせることで、事業戦略を進めていくことが重要だと強調した。

人口増加や水問題、種の絶滅や気候変動といった環境問題、IT化による社会の激変などをあげ、世界的に今後の変化を見通しづらい状況であると解説。そうしたなか、「自分たちの事業を先取りする戦略としてCSRを捉えることが求められている」と述べた上で、「CSRはトレンドなどではなく、普遍的な企業価値と戦略の礎」と締めくくった。

◆事例研究1「海洋プラスチックごみ問題」
小島あずさ氏(一般社団法人JEAN事務局長)

JEANは1990年9月、「国際海岸クリーンアップ(ICC)」に参加した有志によって、緩やかなネットワーク組織としてスタートした。1991年に法人化して以来、クリーンアップキャンペーンなど海洋ごみ問題に取り組んできた。小島あずさ事務局長は、「海洋ごみは古くて新しい問題」とし、「昔のごみは天然素材がほとんどだったが、プラスチック製品を大量に使い捨てるようになった。海のごみ問題はプラスチックによる海洋汚染問題」と説明する。

世界では年間2億トンのプラスチックを使い捨てし、日本では一人年間約75キログラムのプラスチックを消費している。海外で見つかるごみの7割は、陸域で発生した生活ごみだという。

小島事務局長は「全国規模で活動するNGOへの公的支援はほとんどなく、住民やNGO/NPOは疲弊しつつある」と話す。海のごみ問題に対する認識が広まりつつある一方で、「具体的な発生抑制策はまだない」と指摘。「今あるごみはとにかく拾うしかない。これ以上新たなごみを増やさないために、元栓を閉める必要がある。一人ひとりの行動を変えることも大切だが、国や企業らとともに、社会の仕組みを変革していく必要がある。いまの時代、プラスチックに無関係の業種はない。プラスチックは有用なものだからこそ、どこから変えていくべきかきちんと優先順位をつけて対策していかなければ」と強調した。

◆WS(SDGsを使ったマテリアリティの特定)
森 摂(株式会社オルタナ 代表取締役 オルタナ編集長)

オルタナ編集長の森摂は、企業がSDGsに取り組む理由として、「リスク(事業リスクとCSRリスク)の低減」「事業機会の創出」「ES(従業員満足度)やCS(顧客満足度)の向上」「SS(社会満足度)の向上(地域に支持される)」「未来に選ばれる会社になること(顧客創造)」の4つを挙げる。

今回のワークショップは、「SDGsを使ったマテリアリティの特定」の前半。グループごとに代表企業を決め、169のターゲットを踏まえ、その企業にとっての事業機会について議論していった。

◆企業事例2:アサヒグループHD
近藤佳代子氏(アサヒグループホールディングス株式会社 サステナビリティ部門 ゼネラルマネジャー)

アサヒグループは、新グループ理念「Asahi Group Philosophy」のなかで、企業価値向上に向けてESGへの取り組みを深化させていくことを表明している。アサヒグループホールディングスサステナビリティ部門の近藤佳代子ゼネラルマネジャーは、ESGの取り組みを進めるうえで重視しているキーワードとして「グローカルな視点」と「アサヒの強み」を挙げた。ESGを推進するために、全拠点(全支社、全工場、研究所、本店)をまわり、一時間ほどのESG勉強会を実施しているという。

E(環境)を代表する取り組みが「ラベルレスボトル」の展開だ。同製品は、営業担当の発案で始まった。商品の顔となるラベルをなくすことに対しは、社内から強い反対の声が挙がった。しかし、地道なESG推進活動が実を結び、徐々に環境に配慮すべきだという機運が高まっていったという。

気候変動対策にも意欲的で、2050年までにCO2排出量ゼロを目指す「カーボンゼロ」を掲げる。その一環として、ビール類製造時にグリーン電力を利用している。近藤ゼネラルマネジャーは、「野心的な目標を掲げる必要性を理解していても、社内の賛同を得るのは最も難しいことの一つ。そうしたなかで、外部からの評価は後押しになる。実現に向けて具体的に取り組みを進めていきたい」と話した。