フィデューシャリー・デューティー ~金融庁長官の発言に高まる期待~

4月初旬に日本証券アナリスト協会が主催する国際セミナーで行われた、森金融庁長官の基調講演「資産運用ビジネスの新しい動きとそれに向けた戦略」が金融業界で話題になっている。私自身も昨年、自らの講演で再三お伝えしてきたが、金融業界において『顧客本位』であるということが改めて問われている。「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)」は、政府が推進している一環であるが、すでに欧米では常識の範疇。ただし、国内で金融庁のトップが語ったこの発言内容は、今後より一層、長期視点での企業価値向上策に繋がっていくものと期待が高まる。(株式会社オルタナ オルタナ総研 事務局長 / サンメッセ株式会社 執行役員 田中信康)

「資産運用ビジネスの新しい動きとそれに向けた戦略」と題された森金融庁長官の基調講演は、文字通り「日本の資産運用業界への期待」を語る内容だ。この金融庁トップの発言は、金融業界に大きな影響を及ぼすものと期待している。

とりわけESG投資や中長期視点における情報開示などに未だ疑念や否定的な意見が多々ある中で、森長官がマイケル・ポーターのCreating Shared Value(共通価値の創造)を挙げながら、「金融機関の考えとして、顧客と金融機関の価値創造に留まらず、経済や市場の発展にも繋がるものと考える」と強調したことが印象に強い。

まさに金融業界のみならず、すべての企業に当てはまる原則だ。その一方で、実際、特に金融業界など資産運用の世界において、消費者の真の利益をかえりみない傾向があるということもハッキリと言及されていた。