Joshua Newton

欧米のブランド企業でサプライヤー工場のリストを公開する動きが出てきている。これら企業は、なぜサプライヤーの公開を行うのだろうか。

実は1990年代後半、アパレル・ブランド企業では、発展途上国のサプライヤーでの強制労働、児童労働が発覚した。NGO・市民団体がこれを問題視し、2000年頃からこれらブランド企業に、製品を製造するすべての工場名と住所を公開するよう求めてきた経緯がある。

当初は、これらブランド企業は自主的であろうと、政府の規制であろうとサプライヤーの開示に強く反対していた。

しかし、欧米においてNGO・市民社会などの継続した活動や、地方自治体の購買方針の変更などもあり、サプライチェーンの透明性に対する要請やプレッシャーが高まってきた。そして、ブランド企業がサプライヤー工場を開示することが、デメリットよりもメリットがあることが分かってきたこともあり、現在のように公開するようになってきた。

サプライチェーンの透明化のメリット・デメリット

これらのメリットとしては、ブランド企業の透明性を示すことができる点が挙げられる。サプライヤーとの関係性や配慮に自信をもっていることを示すことができるのだ。

もちろんメディアやNGOがこれらリストのサプライヤー工場に赴き、法令順守の状況や労働環境などを確認することができてしまうこともあり、これらをデメリットとして捉える考え方もあるかもしれない。しかしブランド企業が現段階でサプライチェーンのすべての工場を完璧にチェックすることは難しいとされている。そこでメディアやNGO、労働機関にサプライヤーを公開することで、透明性を高め、責任の所在をはっきりさせるとともに、問題があればそれらをすぐに是正する姿勢を取っているのである。

デメリットとしてはこれらブランド企業の競合他社が、リストに掲載されているサプライヤーへ行き、製品調達を依頼できることがある。しかし、ブランド企業によっては公開しているサプライヤーとは関係が深く、工場の生産量のほぼすべてを調達している場合もあり、入り込むのは難しい場合が多い。