第13期下期(実践編)の最終日。すべての講座終了後、全講座受講者には修了証が手渡された。

◆CSRとブランディング
講師:森 摂(オルタナ 代表取締役 オルタナ編集長)

森摂(オルタナ代表)

マネーやグローバル化への「Greed(貪欲)」な20世紀型のビジネスから、「Green」なビジネスへと、企業やブランドの在り方が変化している。サステナブルへ向かう社会の流れの象徴として、ネスレが2007年にCSVを提唱したことなどが挙げられる。森は同社のピーター・ブラベック・前CEOの「ブランドと消費者の距離は変わらず、社会は変化する」という言葉を引用し、「企業は社会の変化に追い付かなければいけない」と述べた。この中で、ソーシャル性をブランドに組み込むには「経営とソーシャル性の統合、特にインナーブランディングこそ最重要」と話す。従業員を含めた様々ステークホルダーとのエンゲージメントが必要だ。

森は「ここで改めてCOP21やSDGsなどの国連の動きに注目したい」と話す。パリ協定以降にCDPやSBTといったイニシアチブに取り組む企業は増えている。そしてあまり知られていないが、CDPはNGOだ。気候変動のネットワーク「We Mean Business」が登場し、企業とNGOのパワーバランスが変化しつつある。国連やNPO/NGOも含めた社会全体とのエンゲージを強めると、発信力も強化できる。森は「様々なステークホルダーと付き合いながらブランド価値を高めていくことが重要」と締めくくった。

◆2級試験過去問演習と解説
講師:岡部 孝弘(サンメッセ ソリューション戦略推進部 CSRセクションマネージャー)

岡部孝弘(サンメッセ ソリューション戦略推進部 CSRセクションマネージャー)

CSR部員塾下期は、その目標のひとつが[新]CSR検定2級合格だ。下期を通して公式テキストを用いた学習を続けてきた仕上げとして、受講者が過去問題に取り組んだ。岡部は正答の発表をする中で「テキストをよく読み込むことが効果的な検定試験対策だ」と話し、配点や試験時間の配分などの試験対策を説明した。

◆ワークショップ:CSRの社内浸透

ワークショップではグループに分かれ、議論した

多くの企業にとって、CSRの社内浸透は悩みの種だ。今回のワークショップでは、「CSR(企業の社会的責任)、HR(人事)、IR(投資家向け広報)、PR(広報)の連携」と「他部署にどうアプローチするか」をテーマに、5グループに分かれてディスカッションを行った。

CSR、HR、IR、PRの連携について、参加者からは「これまでIR部門はESG情報の開示に関心が薄かったが、金融機関や投資家の声が届くようになり動き始めた」「CSR部署が事務局となり、部門横断型の会議体ができた」「働き方改革や研修などで、CSRと人事の関係は近いが、全体としては連携できていない」といった声が寄せられた。

「他部署にどうアプローチするか」については、「経営陣」「一般社員」「海外子会社」のそれぞれにどのようにアプローチしているか、グループごとに議論した。社内浸透の方法として多く挙げられたのが、研修や外部有識者を招いた社内向けセミナー、社内向けの情報発信だ。「外部有識者にCSRの重要性を説いてもらうことで経営陣の意識が変わってきた」「海外子会社のプロボノの事例を社内で情報発信している」といった事例が紹介された。一方で、「CSRを頭で理解しても、行動に移してもらうことが難しい」といった課題も共有された。

◆企業事例11:日立製作所
講師:増田 典生氏(株式会社日立製作所 CSR・環境戦略本部 企画部 担当部長)

増田 典生氏(株式会社日立製作所 CSR・環境戦略本部 企画部 担当部長)

日立製作所は「自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献すること」を基本理念に掲げる。増田氏は「かつてのキャッチコピー『技術の日立』が表すように、当社は高い技術力を誇ってきたが、現在は『自主』技術だけではなく、パートナー企業をはじめ、NPOや学者、地域など幅広いステークホルダーと連携しなければ、社会の課題を解決できない時代になってきた」として、協創の重要性を話した。

「日立のCSR」とは、日立グループ・ビジョン「社会のマクロトレンドをとらえ、サステナブルな社会を実現すべく社会課題にイノベーションで応え、チームワークとグローバルでの経験を活かし活気あふれる世界をめざす」の実現だと言う。同社は「B(日立グループ)to B(取引先)to C(エンドユーザ)to S(社会)」の図式で、価値の最終提供先は「社会」だと考えている。増田氏は「価値の提供先である『社会課題起点』で事業を考えることは、『あさっての飯のタネ』をつくること」と説明した。ビジネスユニットごとにビジネスモデルを考えるワークショップも開催している。

SDGs(持続可能な開発目標)に関しては、「現在の事業をマッピングすることは最終ゴールではなく、169のターゲットを見て、事業のリスクを発見したり、ビジネスチャンスを考えたりすることが重要ではないか」と投げかけた。このほか、CSR・ブランド施策の事例として、岩手県釜石市や宮城県女川町での地域活性支援活動、NPOへのプロボノ活動「ちょこプロ」、買って社会貢献できる企業マルシェなども紹介した。