田中信康のESG情報発信のススメ (13) ESGはトレンドでなく、経営戦略としてのキーファクターになる

本年ほどESGというキーワードが問われた年は記憶にない。筆者も開示支援を中心に業を担う中において、今や単なるトレンドでなく、企業におけるグローバルの経営戦略としてのキーファクターとして、重要な位置づけにあることは既知の事実である。

(株式会社オルタナ オルタナ総研 事務局長 / サンメッセ株式会社 執行役員 田中信康)


統合報告・ESG対話フォーラムに期待

ESGが国内でも注目されるきっかけとなった一つに、GPIFの存在は欠かせない。本年7月にGPIFが採用したESG指数の3つは、企業ならびに投資家などマーケット関係者の大きな注目を浴びていることは周知の事実だ。

筆者にも、複数企業から指数に採用されるためのアドバイスを求められる反面、今後の要望や改善点などを含め様々な反応があることなど、ESG評価を目に見える手法としてリリースした効果は大きい。

ダブルコードによる効力も当然作用していることなど、これらの地道かつ積極開示における成果や効果側面における相応の手応えは出ていると感じる。

先日、FTSEのマネージャーにインタビューさせていただいた際、特に印象深かったのは、同社の評価データの中において、過去におけるFTSEのESG評価が著しく改善したのは、日本であることがデータ変化として顕著に表れていると聞いたことだ。

筆者は当初、いささか日本国内におけるESGのトレンドが過熱報道ではないか、と危惧していたものの、今や欧州、そして米国に習えと、日本国内におけるESGの先進的取り組みの深度は高まり、この動きはますます具体的かつ、実務的になろうとしている。

直近の具体的な動きでは、経済産業省主導で「統合報告・ESG対話フォーラム」が立ち上がり、価値協創ガイダンスの指針の下、国際団体との意見交換、ならびにステークホルダーとの協働、非財務情報開示の促進に向けた活動がスタートしている。

参加者も「伊藤レポート2.0」をリリースされた一橋大学大学院商学研究科の伊藤邦雄特任教授を中心に、オムロン、花王、JXTGホールディングス、丸井グループ、三井化学、ダイドーグループホールディングス、東レ、スタートトゥデイ、東京海上ホールディングス、キリンホールディングスなどの企業群が参加し、その周りを多様な投資家層で構成されている。

以降、本フォーラムよりベスト・プラクティスが公表され、ESG要素を念頭においた中長期的な企業価値向上に資する開示のあり方や、情報開示の手法の場等々、これまで国内になかったIRの機会、あるいは、エンゲージメントの場面が創出されるものと期待している。