シリーズ「人類が出せるCO2はあと1兆トン」

気候変動のリスク・商機に気付きはじめた日本企業 (1)
~企業を主軸とした「気候変動適応ワークショップ」の開催(環境省)~

気候変動(地球温暖化)は、もはや人類が避けることのできない確実に進む地球環境の変化である。その原因物質である温室効果ガスの排出を抑制することを「緩和」(mitigation)と言う。これに対し、その影響を予測・分析し、回避・軽減する対応を「適応」(adaptation)と呼ぶ。つまり、気候変動対策には緩和と適応の両面が必要であり、車の両輪関係に例えられる(下図参照)。

今回は、日本ではこれまであまり話題にならなかった「企業の適応」に焦点を当てる。

企業の「緩和」と「適応」 ⇒ 「気候レジリエンス」の構築

企業経営と気候変動適応

気候変動による企業経営への影響は、想定を超えてさまざまな事業活動に及ぶ。風水害による災害・損害、あるいは温暖化による農作物の品質低下など、企業は直接的な影響を受ける。しかし、影響はこれだけに留まらない。2011年にタイで起きた異常降雨による工業団地の大洪水のように、海外サプライチェーンの被災による間接的な影響も懸念される。

それゆえ、企業は予想される気候変動に伴う経営リスクに対応する必要がある。この適応に関する企業の取組には、大きく分けて二つある。

一つは、自社の事業活動において、気候変動による影響を回避・低減させる「気候リスク管理」。例えば、生産・販売・サービス拠点やサプライチェーンの被災防止対策などがある。これは「物
理的リスク」と呼ばれる。

もう一つは、適応をビジネス機会と捉え、他者の適応を支援する製品やサービスを提供する「適応ビジネス」。これには、災害の防止や検知・予測システム、暑熱対策技術・製品あるいは耐熱性作物の開発、節水・雨水利用技術など多様な実践事例がある。

なお、本年7月のG20におけるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言では、上記の「物理的リスク」に加えて、「低炭素経済移行リスク」として、政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク、評判リスクを挙げている。

環境省主催「民間事業者による気候変動適応推進ワークショップ」