「CSRのPDCA」のワークショップの様子

◆CSRのPDCA-その1:経営への統合
講師:川村雅彦(オルタナ総研所長・首席研究員)

なぜCSRの経営への統合が必要なのか。川村は「CSRは経営そのもの」とし、「CSRの経営の統合とは、CSRを本業とは別の付け足し的な活動ではなく、企業経営と密接不可分のものとして、環境や社会への配慮を経営の意思決定と日常の事業活動に組み込むことである」と説明する。企業はまず環境や社会に何らの負のインパクトを与えているという前提に立ち、「意図的であろうとなかろうと、社会に迷惑をかけた以上は責任を取らなければならない。CSRマネジメントの実践は必須」と話した。

◆CSRのPDCA-その2:長期目標
講師:後藤敏彦氏(日本サステナビル投資フォーラム理事・最高顧問、サステナビリティ日本フォーラム代表理事)

日本サステナビル投資フォーラム理事・最高顧問の後藤敏彦氏

2015年、世界ではSDGs(持続可能な開発目標)とパリ協定が採択され、日本では年金基金(GPIF)が国連責任投資原則(PPI)に署名し、経済・社会システムのパラダイム・チェンジが起きた。後藤理事は「一日一日は変わっていないように見えるが、長期的に見れば大きな変化が起きている。企業も長期的な視点を持つことが必要」と話す。SDGsでは2030年までの目標が定められている。「日本ではゴールは『必達目標』ととらえられているが、本来ゴールは優先課題であり、『ありたい姿』である。今後さらに産業構造が変わっていくなかで、2050年を見据えた長期目標が必要」と続けた。CSR部員塾では具体的にどのように長期目標を設定すればいいのか、解説した。

◆ワークショップ:CSRのPDCA
講師:森摂(オルタナ代表兼編集長)

ワークショップの前半では、AグループとBグループの2つに分かれ、ロールプレイングを行った。「CSRは組織を巻き込まなければ進まない」という観点から、Aグループは経営幹部役、BグループはCSR担当者役になり、立場の違う両者で「そもそもCSRが必要なのか」「CSRとPRやマーケティングはどう違うのか」などについて議論した。後半は5グループに分かれ、グループのなかで代表者を選び、その企業のPDCAの計画(P)づくりに取り組んだ。ほとんどは異業種同士だったが、それぞれの経験や知識を取り入れながら進め、グループごとに発表を行った。

◆企業事例:大和ハウスのPDCAサイクル
講師:近久啓太氏(大和ハウス工業経営管理本部CSR部長)

大和ハウス工業経営管理本部CSR部長の近久啓太氏

大和ハウスの近久部長は「CSRは継続や定着が重要」と説き、同社がどのようにCSRのPDCAサイクルをまわしてきたかについて講演した。同社は、「企業価値を高める判断・行動」をまとめたケースブックを作成したほか、全従業員を対象にしたCSR意識調査、取引先へのアンケート調査などを行い、事業所CSRマネジメントを構築した。事業所評価として、業績評価に社会・環境的な側面を持つ経営健全度評価を加えている。さらに、統合思考の醸成に向けた取り組みとして、部門横断型の「統合思考プロジェクトチーム」を編成した。近久部長は「当社は創業100周年(2055年)に売上高10兆円を目指しているが、サステナビリティも両立させる。基本的なCSRから戦略的なCSRへ。最終的には経営との統合を目指している」と語った。