田中信康のESG情報発信のススメ (11) バラエティに富む国内企業の情報開示(レポーティング)に思う

この9月末までに国内企業における報告書が続々と開示された。何よりも昨年比において、「統合報告書」発行企業数が各段に多くなったことが挙げられ、その開示内容はバラエティに富んでいることもポイントの一つだ。この傾向は数年続くものと考えられ、業界を問わずユニークなビジネスモデルを開示することで、より注目される企業も出てこよう。しかし、大切なのは将来にむけた“あるべき姿”としてのビジョンが明瞭に開示されていることであり、財務・非財務情報が網羅されたESG情報開示はもちろんのこと、各社のアイディアと創意工夫、そしてストーリーテリングが大きなポイントになることを断言したい。

(株式会社オルタナ オルタナ総研 事務局長 / サンメッセ株式会社 執行役員 田中信康)


大切なのは、トップの関与と強いコミットメント

先日放映されたNHKクローズアップ現代「2500兆円超え!?世界で急拡大“ESG投資”とは」に大きな反響があったようだが、とりわけ目新しい情報が放映された訳ではない。

その中において筆者は、サントリーホールディングスの新浪社長のコメントに感銘を受けた。

「トップの強いコミットメント」は、企業理念に通ずる。また、その企業理念を浸透させ、それを貫くことを企業のトップマネジメントがぶれずに旗振りの役割を担う。との発言。まさに現代の企業経営のあり方の一端が垣間見え、実に力強い言葉であったのが印象的だ。

トップの関与といえば、自社の発行する統合報告書にトップ自らが積極関与している企業として挙げられる代表格が、先月末に「共創経営レポート2017」を発行したばかりの株式会社丸井グループ。

同社の青井浩代表取締役社長は、自ら自社の発行するレポートのほぼすべての会議に参加し、改善点なども含めた発言を行っていると聞く。併せて、8ページにも渡る社長メッセージは、青井社長自らのペンによるものだ。

報告書は、一般的に通期の決算報告がメインになりがちだが、同社のそれは前段の文章から課題認識を浮き彫りにさせていることと、10年後を見据えたビジネスモデルの予想をリスク(同社では「脅威」と表現)と機会の両側面からの説明が、経営トップ自らのメッセージとして表現されており、読み応えは十分だ。