シリーズ「人類が出せるCO2はあと1兆トン」

米国に続き欧州でも将来的なエンジン車販売禁止の動きが広がっている。前回はカリフォルニア州を中心とする米国のZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)規制について概観したが、今回は欧州(仏英独)と中国・インドの動きをみてみよう(注1)。

米国のZEV規制に続いて欧州も

本年7月上旬、フランス政府はCO2排出を抑えるために、2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を国内でやめる方針を明らかにした。具体的な工程は明らかになっていないものの、これは電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)の導入促進による「車の世代交代」を意味する。併せて、同国環境担当大臣は2022年までに石炭火力発電を収束させることも表明した。「厳しい決断だか、これが真の改革だ」と述べたという。

同じく7月下旬には、英国政府も2040年までに国内でのガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を決定したことが明らかになった。これには、都市部などのNOxなどによる大気汚染対策の側面もあるようだ(注2)。この販売禁止に向けた過渡的措置として、大気それでは汚染の深刻な地区へのディーゼル車の乗り入れに課金する(ロンドン市中心部ではこの10月から課金開始)。汚染の改善が見られない場合にはディーゼル車の廃棄も検討する、という強い姿勢がみられる。

それでは、これまで欧州の環境政策、とりわけ気候変動政策をリードしてきたドイツ政府はどうだろうか。ドイツは自動車大国であり、世界のディーゼル車を牽引してきた。しかし、2015年に米国でフォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正が発覚し、対象は世界全体で1,100万台に達した。環境車と言われたディーゼル車への不信が欧州に広がる中で、この7月にはカルテル疑惑も浮上し、同国の経済基盤である自動車産業の今後が政治課題となった。

9月24日の連邦議会選挙を控え、8月上旬に政府・自治体とVW、BMW、ダイムラーなどの自動車大手5社は、同国内のディーゼル車530万台を自主的に無償改修することで合意した。環境対応車への買い替え費用も補助するが、大都市が検討していたディーゼル車の走行禁止には歯止めをかけた形である。「ディーゼルの呪縛」のなかで、ドイツ車も中長期的には脱エンジン(電動化)が不可欠だが、当面の国内政策は今度の選挙結果にも左右されよう。

(注1)今年7月、加州知事が同州の排出量取引制度(キャップ&トレード)の2030年までの延長に署名した。
(注2)英国では大気汚染で毎年約4万人死亡と言われ、高等法院から新たな対応策を命じられていた。

中国とインドもエンジン車禁止へ