日本版フェア・ディスクロージャー・ルールに思う

前年度の決算リリースラッシュから株主総会シーズンとなり、一部の大手企業では新たな中期経営計画の発表も行われた。その内容が注目される中、昨年、金融庁主催による金融審議会市場ワーキング・グループで「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース報告」が行われ、昨年12月22日に最終報告書が公表された。欧米やアジア主要国では同ルールは整備化されており、遅まきながら日本においても市場関係者の中で話題となり、動向が注目されている。

(株式会社オルタナ オルタナ総研 事務局長 / サンメッセ株式会社 執行役員 田中信康)


フェア・ディスクロージャー・ルールの是非

投資家との対話が積極化する傾向の中、自社の事業特性や強みに加え、経営課題や投資家自身の関心も鑑みたコーポレート・ストーリーが重要視されている。

言わずもがな、それには企業としての成長性、収益性、財務状況の健全性、更には資本効率という観点から、BS/CFをどうコントロールするかという視点が、企業経営やCFOの腕の見せ所であり、統合思考の潮流の中、投資家との対話における中長期戦略を語る上でも重要な視点であることは言うまでもない。

一方で、企業情報の開示において、投資家への不平・適時開示の確保のためのルールの整備は、残念ながら日本では遅れていると言わざるをえない。

既に、欧米やアジア主要国において、フェア・ディスクロージャー・ルールの整備はされており、米国では、未公表の情報開示において意図的な行為か否かの如何を問わず、速やかに開示することがルール化されている。欧州においても同様に厳格なルールがしかれている。

世界に遅れながら、日本において、本ルール導入の意義が問われ、2015年12月以降に起こった複数証券会社に対する行政処分事案でも、未公開情報公表における是非が問われたことも記憶に新しい。

各国の好事例を参考にさまざまな議論がなされているものの、一部においてルール化は曖昧なニュアンスも多い。実際に、多くの企業経営者からも適切な情報開示という面において、懐疑的な声も出ている。

米国でも企業とアナリストとの認識のズレも生じており、全米IR協会調査において、アナリストからは、提供される企業情報のボリュームが明らかに減ったという集計データも公表されている。

実際に金融庁の市場WGにおいても、本ルールの対象となる情報提供者の範囲や、情報受領者の範囲を含め、情報開示の公表方法などについて、有識者をはじめとしたタスクフォースメンバーによって、様々な意見が交わされた。

2017年3月には、金商法改正案として国会に提出がされたことで、国会審議での成立を待って、2018年4月から適用(ルール施行)される可能性が非常に高い。