英化粧品ブランドのラッシュは3月11日、福島県いわき市産の有機和綿「備中茶綿」を使った風呂敷「Knot Wrap(ノットラップ)」の販売を世界49カ国930店舗で開始した。東日本大震災の発生から7年目を迎えた現在も、全国には約12万3千人(復興庁)の避難者がいる。そんな中、調達や環境に配慮したビジネスを行う同社は、ノットラップを世界で販売することで、被災者の経済的自立と自信を持つためのきっかけをつくりたい狙いだ。(オルタナ編集部=小松 遥香)

ラッシュは今回、鯉とフルーツをモチーフにした2種類のデザインを発売。ノットラップ自体は、2008年から再利用できるラッピング素材として世界で販売してきた商品だ。 福島産有機コットンと米国産有機コットンを使ったノットラップは昨年、国内で先駆けて販売。世界で販売されるのは今回が初めてとなる。それぞれ大きさは縦横70センチで税込み800円で販売。

製品に使われる有機コットンは、いわき市で復興活動を行う「いわきおてんとSUN企業組合」から調達。同団体は、市民が主体となり、有機コットンの栽培のほか自然エネルギー事業、スタディーツアーを行い復興まちづくりに取り組んでいる。

震災後、同地域では風評被害や津波の塩害によって農業が衰退。同団体は、塩害に強く栽培をすぐに始められる綿花に注目し、栽培を2012年から始めた。

支援ではなくビジネスとして

世界中の店長にノットラップの商品化の背景を話す黒澤千絵実バイイングチームリーダー

ラッシュジャパンで調達を担当するバイイングチームの黒澤千絵実リーダーは、「復興を支援するという気持ちよりも、ビジネスを一緒にやっていこうという気持ちだ。協働するなかで、私の方がいわきの人たちから勇気づけられてきた。世界中の多くの人にノットラップと製品が生まれた背景を知ってもらいたい」と話す。

発売に先立ち、ラッシュジャパンは2月初旬、世界から店長クラスの1000人が集まりロンドンで開催された店長会で新作のノットラップを披露。黒澤リーダーは各国の店長らを前に、商品の開発秘話と福島の人々の復興に対する思いを話した。

カナダの店舗で働く女性は、「ラッシュジャパンの社員といわきの人たちの『絆』に感動した。思いのこもった商品を積極的に販売したい」と語った。

ラッシュジャパンはこの他にも、南相馬の菜種油を使った「つながるオモイ」石鹸の販売も3月11日から開始。また渋谷駅前店や天王寺ミオ店では、特定非営利活動法人福島県有機農業ネットワーク(二本松市)を招き復興支援の「チャリティパーティー」をそれぞれ3月19日~20日と3月25日~26日に開催する。

チャリティパーティーは社会課題の解決のために活動する草の根団体を店舗に招きトークショーなどを行うイベントで、国内の店舗で定期的に開催されている。同期間内に販売されるボディローション「ニューチャリティポット」の消費税を除く売上はすべて福島県有機農業ネットワークに寄付される。