川村雅彦のCSR一刀両断(1) 2017年のCSRトレンドをどう読むか?

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文明史的大転換の2015年から1年

2015年は文明史的なパラダイムが大きく転換した年となった。

18世紀後半の産業革命以降の化石燃料に依存したパラダイムは、「地球は無限」という錯覚に基づく『限りない成長』であった。それが、「地球は有限」という現実に基づく『持続可能な発展』に変わったのである。

この大転換を象徴する世界的な動きが三つある。

一つは、2030年の地球社会のめざすべき姿を示す「SDGs(持続可能な開発目標)」の国連での採択である。二つには、COP21(第21回国連気候変動枠組条約締約国会議)における21世紀後半にCO2排出量の実質ゼロをめざす「パリ協定」の合意である。三つめは、G20の声明を受けた、FSB(金融安定理事会)による金融機関の気候変動リスク情報開示を検討する「TCFD(気候関連財務ディスクロージャー・タスクフォース)」の設置である。

一方、日本でもパラダイム大転換を象徴する二つの出来事があった。すなわち、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によるESG投資を推進する「UNPRI(国連責任投資原則)」の署名と、トヨタの “生き残り戦略”ともいえる脱エンジン車をめざす「トヨタ環境ビジョン2050」の公表である。

この大転換の年に続く2016年には、英国のEU離脱と米国のトランプ次期大統領が世界的話題となった。国内中間層の疲弊を背景とする自国中心主義の台頭の中で、CSR関連では世界でどのような動きがあっただろうか。ここでは次の三つを上げたい。

まずは、パリ協定が予想に反して採択から1年足らずで発効したこと(11月)。次いで、GRIサステナビリティ・レポーティング・ガイドラインのスタンダード化(10月)。そして、TCFDによる金融機関や投資家の気候変動リスク開示に関する報告書の公表(12月)。なお、日本では「ESG投資」という言葉が普及するとともに、SDGsに取り組む企業が増加した。

これまでの常識はこれからの非常識