下田屋毅の欧州CSR最前線(51)

 

いま、水リスクへの注目が高まっている。地球規模での温暖化により、降水量が変化し、干ばつや洪水が発生し、水の所有権や水の資源配分、汚染など水をめぐる紛争も起きている。(在ロンドンCSRコンサルタント=下田屋毅)

深刻な水リスクを報告した「グローバルリスクレポート2016」

深刻な水リスクを報告した「グローバルリスクレポート2016」

世界経済フォーラムの「グローバルリスクレポート2016」によると、工場生産などの経済活動や人口増加が、世界各地で水資源を減少させているという。激化する経済競争と誤った水資源管理の影響で、世界で水が利用できなくなると予想されている。つまり「水リスク」が、産業界だけでなく全世界に重大な影響を及ぼす可能性が非常に高いと世界的に認識されているのだ。

OECD(経済協力開発機構)が2012年に実施した調査によると、水の需要は2000年から2050年までに、工業用水では400%増加し、汽力発電は140%増加、生活用水は30%増加と全体で約55%の増加が予想されている。2050年には、特に南・北アフリカや南・中央アジアで、世界人口の約40%の人々が深刻な水不足に見舞われる可能性があるという。

「2016ワールド・ウォーター・ウィーク」

こうしたなか、水リスクに対応するための議論が国際的な会議の場で定期的に議論されている。その会議の一つ、毎年8月下旬にストックホルムで開催される「2016ワールド・ウォーター・ウィーク」に筆者は参加した。2014年に引き続き2度目の参加だ。ここでは国家レベルでの水対策とともに、企業レベルでの水リスクの対応の議論が行われた。

2016ワールド・ウォーター・ウィークに参加した著者

2016ワールド・ウォーター・ウィークに参加した著者

今年のテーマは、「持続可能な成長のための水」。世界約120カ国から200以上の団体・組織がイベントに協力し、国連機関や各国大臣、政府関係者、各国の開発機関、そして企業、NGO、大学・研究機関など、約3100人が参加する大規模な会議だ。国や地域、企業レベルの水問題に関する幅広い課題に対応するプラットフォームとして機能している。